第17回OCHISセミナーはおかげさまで、無事終了いたしました!
■□ 第17回OCHISセミナー ■□
・日時:2023年12月8日(金) 13:30~17:00
・テーマ: 「運輸業界のビックデータをどう活かす?~安全・健康への多様な活用と課題~」
当法人理事長の武田が開会挨拶を致しました。
「運輸業界のビックデータをどう活かす?~安全・健康への多様な活用と課題~」というテーマと、プログラムを紹介し、OCHISと運輸業界の繋がりや、20年の蓄積されたデータを将来に向けてどのように活かすことが出来るかについて考えていきたい、と話しました。
第1部セミナ―テーマ設定
当法人副理事長の作本が「20年間の歩み ~SASと運輸ヘルスケアナビシステムⓇの実績と課題~」と題してOCHISの20年を振り返りました。SASスクリーニング検査、運輸ヘルスケアナビシステムⓇだけではなく、行政・業界団体への各種マニュアル作成や執筆、セミナー開催、ポスター作成等を通じて、健康起因事故防止と健康な労働力の確保の一助になりたい、と話しました。
基調講演Ⅰ
国土交通省 物流・自動車局安全政策課 課長の永井氏が「健康起因による事故防止について~プロドライバーがいつまでも元気に誇りをもって働ける世の中を目指して~」と題して、プロドライバーを取り巻く環境、事故の発生状況や、健康起因事故防止に向けての様々な取り組み、SASや脳検診などのスクリーニング検査の重要性について話されました。また健康起因事故・SAS起因の事故報告の事例が紹介されました。さらに今後の取組みとして、健康管理にかかわるマニュアルを確実に実施していく為の手法の検討をあげられました。
基調講演Ⅱ
公益社団法人全日本トラック協会 交通・環境部 調査役 大西氏が「トラック運送業界の安全と健康を目指して~全ト協とOCHISの関わりから~」と題して、運輸業の健康起因事故や過労死の現状を話されました。ドライバーの健康診断の実態とフォローアップの重要性から、運輸ヘルスケアナビシステムⓇを是非とも活用してほしい、とお話しくださいました。
事業者、業界団体、ドライバーが一体となって取り組んでいくことで事故や過労死の減少につながると強調されました。
※運輸ヘルスケアナビシステムⓇは、運輸事業者様(バス、トラック、タクシー)にご利用いただける定期健康診断フォローアップツールです。トラック事業者様は全ト協事業として半額の補助があります。
10分の休憩の間に、OCHISの提供している「健康管理で事故防止ポスター」やパルスオキシメータ(睡眠時無呼吸症候群検査機器) をご覧いただきました。
レスメド㈱がCPAP(睡眠時無呼吸症候群治療機器)の展示で使用方法等の説明をしてくださいました。
OCHISが協力した、大学生が運営する、中高生を対象としたヘルスケア課題解決プログラム、
inochi Gakusei Innovators’ Program(i-GIP) の展示です。2023年度のテーマは「睡眠時無呼吸症候群(SAS)で苦しむ人を減らそう。」
高校生の熱い思いが詰まっています。
詳しくは、近く当HPで別記事をUPしますのでご覧ください。
第2部SAS
「10万人のSASスクリーニング検査の集計と分析」と題して、当法人マネージャー 平田が2015年度から2022年度の10万360人のデータから平均年齢の推移や精密検査対象者の割合、精密検査対象者の38%に自覚症状がない事などを発表しました。
続いて副理事長 作本が「SASスクリーニング検査の有効性と、治療継続のための手法」と題して、精密検査後の治療継続に向けて何ができるかを話しました。
その中でレスメド株式会社マーケティングプロダクト・マネージャー 久保氏が、「患者さんに前向きに治療に取り組んで頂く事を支援する」と題して、CPAP治療で治療効果が実感できないと感じる方に向けて、本人の力を引き出し自分の疾患に前向きに取り組めるようなコンテンツを充実させていきたいと話してくださいました。
OCHISのSASスクリーニング検査判定医でもある、医療法人社団康裕会 浅草クリニック 副院長 内山氏に「SASスクリーニング検査の重要性」と題してWEBでお話し頂きました。SASは自覚症状が少なく、問診では見抜けないため、積極的なスクリーニング検査が重要だと述べられました。検査実施で従業員、会社、社会の三方を守ることができる事や、予防できる事故を防ぐ大切さをお話しいただきました。
第2部運輸ヘルスケアナビシステムⓇ
保健師 山田が「健診データ一元化の重要性と、運輸ヘルスケアナビシステムⓇ分析」と題して、運輸業界の就労環境が生活習慣病になりやすく、それが健康起因事故を起こすリスクを高めている現状を話しました。健診後にドライバーの肥満・高血圧・脂質異常・高血糖・SASなど、ハイリスクのデータをきちんと把握するために情報を一元化し、フォローアップにつなげる重要性を話しました。
保健師 安島が「労災二次健診活用への取り組み ~ハイリスク者削減に向けて~」と題して話しました。
肥満・高血圧・脂質異常・高血糖のハイリスク者は脳心疾患になるリスクが36倍あり、SASが加わるとさらに悪化するが、そのリスクを軽減させるため、無料の労災二次健診を活用するよう勧めました。
またナビシステムと医療機関が協業し、ナビデータを元に健診機関が事業者へ出張し、より簡便に労災二次健診を利用できるような取り組みを2023年度より開始した、と話しました。
保健師 黒田が「トラックドライバー 千人の働き方から見えた生活習慣と課題」と題して、ナビシステム利用者アンケートから労働時間と睡眠状況を分析し、ドライバーの6割が6時間未満の睡眠時間である事、4割が自分の眠りに問題があるとしている事を話しました。また、始業前に血圧測定をしている事業者はそうでない事業者に比べ、血圧の治療をしている人の割合が高く、自らの生活改善への取り組みが見られると話しました。
続いて、「SAS&NAVI活用事例」と題して、平和貨物運送株式会社 代表取締役 平田氏へのインタビューをご覧いただきました。「運輸ヘルスケアナビシステム®」を導入されていますが、健診後と、SASスクリーニング検査後の受診勧奨の難しさを赤裸々に語ってくださいました。問題はあるものの、従業員の間に互いの健康をいたわる素地ができたきた、と話してくださいました。
【お断り】第3部では公益財団法人大原記念労働科学研究所の酒井氏の講演を予定していましたが、体調等の理由により、急遽プログラム変更となりました。
第3部提唱と総括
副理事長 作本が「健診のあり方と情報の合わせ技~健康起因事故の背景を踏まえて~」と題して、健診結果のデータを一元管理すことで、関係者(事業者、産業医、健診機関、OCHIS,健保組合)へどのようなメリットがあるかを話しました。
理事長の武田が「ビッグデータの安全・健康に向けての活用と課題~ヘルスケアの観点から~」と題して話しました。
自身の阪大病院時代のデータ管理の経験を踏まえて、運輸業界の健康管理に関しても、目的を持ったデータ管理をする事、そのデータを活用して、事業者と個人がそれぞれ事故を起こさないために日常生活の改善に努めることの重要性を話しました。
質疑応答では、会場とLive配信のチャットからの質問にお答えしました。
最後に、理事長 武田が総括と閉会の挨拶をし、無事にセミナーを終了することができました。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
また来年のOCHISセミナーで皆様にお会いできることを楽しみにしております!
最後までご覧いただきありがとうございました。
今年は全乗務員SASスクリーニング検査を行って、無呼吸症候群の疑いがある乗務員に対して再検査と治療を行いました。運転寿命を延ばすためにと頼み行いました。